最近エンジン始動が困難ということでF本君よりオフロードレーサーCRF250Rの腰上OHのご依頼を受けたのですが、キックでかからないので押しがけしてたようです。F本くんモトクロッサー押しがけってあの圧縮の高いレーサーを押しがけするとはたいしたもんです!オジサンは無理!押しがけでエンジンかかる前に過呼吸になって死亡しますと言うわけでヘッドカバー開けてまずバルブクリアランス(カムシャフトとバルブの間の隙間のこと)をシックネスゲージ
と言う物で計ったんですが(1/100mm単位)インテーク側の1本がまったく隙間なし!(カーボン噛み)たぶん左のバルブ1本で吸気してたものと思われます。エキゾーストバルブは2本ともギリギリ許容範囲内!OHCエンジンの場合カムシャフトでバルブを押す種類はダイレクトプッシュ方式とロッカーアーム方式の2種類があります。ダイレクトプッシュは部品点数が少なく軽量で高出力タイプによく使われます。ロッカーアームは調整が簡単だけど部品点数が多く重くなるのとフリクションロスの難点があります。(普通のバイクはロッカーアーム方式が多いです)
このレーサーはもちろんダイレクトプッシュ方式でカムシャフトで直接バルブを押す訳ですが隙間調整のシムが入っております
(メモの真ん中の直径8mmくらいのやつです)
このシムをマイクロメーターと言う物で計ってマニュアルの基準値(±0.03)に近ずけるために計算して新しいシムを注文して組み込むのであります
今回は完璧に治してほしいとのご要望でバルブ、バルブガイドの交換、バルブシートの修正(バルブとヘッドの当たり面修正)、ピストンリングの交換等腰上のフルOHでございます。
今時のバイクのエンジンはOHCかOHVしかないでしょうが除雪機や発電機の汎用品はいまだにSV(サイドバルブ)を採用しています。
なんやかんやウンチクたれましたが構造を理解すれば理解するほど奥深いものです。みなさんも自分のバイクに採用されているエンジンがどういう方式なのか?バルブが吸排気で何本あるのか?バルブを開閉する方式ははカムチェーンなのか?プッシュロッドなのか?色々研究してみてはいかがですか?けっこうおもろいですよ
わからないことはわかる範囲でお答えしますのでお店まで遊びに来て聞いて下さい!
今回はレーサーで使用頻度にもよりますが常時15,000rpm〜20,000rpmの高回転で回しますので最低年1回の点検、OHが必要となってきます。皆さんのナンバー付きバイクはそんなに激しくないので安心してお乗りください。
でも長持ちさせる秘訣はどんなささいなことでも ”あれ?” と思ったらすぐ治すです。ケチると後で痛い目のあいますよ〜!
バイカ―ズてんちょ〜のウンチク講座でした